渡邊事務所の相続ガイド
知っておきたい相続の基礎知識
大切なご家族が亡くなられた際、土地や家・現金などの財産がある場合は、相続の手続きを行わなければなりません。手続きの期間は早くて2~3カ月、長い場合は10カ月ほどかかることもあります。
無駄な手間や費用をかけずに手続きを進めるためにも、相続のおおまかな流れを把握し、基本的な知識を身につけておきましょう。
相続登記をせずにそのままにして長期間放っておくと、登記手続きをしようとしても、数十年も経っていると、代替わりもあり相続人を確定できないこともあります。
また、関係当事者も多くなるため遺産分割の手続きも難しくなり、身内の間でトラブルになるケースも少なくありません。
令和3年4月に相続登記の義務化が法制化されました。令和6年4月より、相続人には相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続の登記を申請しなければならないという義務が課せられ、手続きを怠った場合、最高10万円の過料に科せられます。
相続登記は先延ばしにせず、できるだけ早く行いましょう。
相続の流れ
相続の一般的な流れは、次のようになります。
特に「こうしなければならない」という順番があるわけではありませんが、なかには期限が定められているものもあるので、注意が必要です。
相続税・遺産分割といった聞き慣れない言葉が出てくるため、とても面倒ではありますが、一度は通らなければならない道と思って、速やかに手続きを進めることが大切です。
①相続開始
被相続人の方が亡くなられた当初は、葬儀や親戚・知人などへの対応で忙しく、気持ちの上でも“相続”という言葉を身内の方々とかわす気持ちになれないでしょう。
では、いつまでに相続を開始したらよいのでしょうか?
相続税は死後10カ月以内に申告する必要があります。
登記自体はいつでもよく期限は定められておりません。
四十九日の法要が終わってからでも間に合いますが、思わぬトラブルで手間取る可能性なども考えると、なるべく早めに手続きを進める方が無難でしょう。
②遺言書の確認
まずは遺言書があるかどうかを確認します。
遺言書がある場合はそれを持って家庭裁判所に行き、手続きを行います。
遺言書がない場合、または遺言書が公正証書いわゆる「公正証書遺言」になっている場合などは、
この手続きは必要ありません。
③相続人と相続財産の調査
その次に、相続する権利のある方が誰なのか、相続する不動産や預貯金等がどれだけあるかを調査します。
その際には、亡くなられた方(被相続人)の戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍が必要です。生まれたときから亡くなるまで、すべて取り寄せます。
また、亡くなられた方名義の不動産・預貯金・有価証券なども調査します。借金やローンなどが残っている場合も、負の遺産として調査します。
④相続放棄・限定承認の手続き(必ず必要ではありません)
調査が終わった後、「財産も負債も相続しない」という場合は“相続放棄”、負債を相続したくない場合などは“限定承認”という手続きを取ります。
*[期限]相続開始を知った日から3カ月以内
⑤準確定申告(必ず必要ではありません)
亡くなられた方に、事業による収入や不動産収入がある場合は、準確定申告が必要となります。
自営業の方、アパート収入のある方、家や土地を持っている方などは必ず当てはまります。
お近くの税務署や税理士にご確認下さい。
*[期限]相続開始を知った日から4カ月以内
⑥遺産分割協議
誰が相続するか、どんな財産があるかがわかった後は、いよいよ相続のメインイベント、“遺産分割協議”に入ります。何を分配するか、一応“法定相続”という決まりごとはありますが、ほとんどの場合はこの話し合いによって決定します。
スムーズに協議が進めば遺産分割協議書を作成し、順調に話が進みます。もし相続人の考え方がそれぞれに異なる場合は、話し合いが長引く可能性もあります。
遺産分割協議書は、一度作成すると原則として撤回できません。変に遠慮をしたり、なあなあで決めてしまったりするのも後々のトラブルの原因になるので、十分考えた上で決定することが大切です。
⑦相続税の申告・納付
相続を受ける際に気を付けたいのが、この“相続税”です。
実際に関係があるのは4~5%の方ですが、「それなら大丈夫」と思って放っておくと、加算税や延滞税を取られてしまうケースもあるので、注意が必要です。
お近くの税務署や税理士にご確認下さい。
*[期限]相続開始を知った日から10カ月以内
⑧名義変更
最後に必要なのが、名義変更の手続きです。
預貯金があればその名義人を変更し、不動産がある場合は不動産登記簿の名義を変更します。
特に期限はありませんが、そのままにしておくとトラブルに巻き込まれる可能性も考えられます。
気持ちの上でけじめをつけるためにも、早めに手続きを行った方がよいでしょう。
登記に必要なこと
亡くなられた方が残される遺産は、ほとんどの場合が現金または土地・建物などの不動産です。
土地や建物は法務局で名義変更の登記手続を行う必要があります。
遺言書はありますか?
もし亡くなられた方の遺言書がある場合は、家庭裁判所で所定の手続きが必要な場合があります。
手間がかかるのは、遺言書がない場合です。遺産分割のための協議書を作成する必要があります。
亡くなられた方の、生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本等を取り寄せ、それを基に相続人全員で協議を行い、協議書を作成します。
亡くなられた方の年齢によっては出生当時の情報がない場合もありますが、その際はわかる範囲で書類を取り寄せます。
遺言書がない場合は、遺産分割協議書がないと登記ができないので、この一連の手続きは必ず行いましょう。
相続登記で一番もめるのがこの遺産分割協議書の作成なので、遺言書のあるなしでいかに相続人の精神的・時間的負担に違いが出るかがよくわかります。
遺産分割に関してお悩みの方は、当事務所にご相談いただければ、親身になってご対応させていただきます。
不動産の内容を調査
亡くなられた方の名義になっている土地・建物などの不動産が、どこにどれだけあるかを調査する必要があります。
相続人の方が「この不動産以外にはない」とわかっている場合でも、法律上調べなければなりません。
その後、遺言書がなければ遺産分割のための協議を行い、協議書作成後に法務局で名義変更の手続きを行います。(こちらは当方が担当できます。)
名義変更の手続きに特に期限は設けられていませんが、誰の不動産かわからなくなってしまうなどのトラブルを避けるためにも、早めに手続きを済ませた方がよいでしょう。
相続税の申告義務があるかどうかをチェック
故人の遺産に相続税が関係してくるケースの場合は、手続きが大幅に延びることも考えられます。
相続税を支払えない場合は、延納手続きなどをしなければなりません。
ご自分の相続が相続税に関係しないかどうか、あらかじめチェックをする必要があるでしょう。
不動産の相続
令和3年4月に相続登記の義務化が法制化されました。
令和6年4月より、相続人には相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続の登記を申請しなければならないという義務が課せられ、手続きを怠った場合、最高10万円の過料に科せられます。
なるべく早く手続きを行いましょう。
相続登記に必要な書類
被相続人
●(ある場合は)遺言書
●戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍(基本的に出生から亡くなるまですべてのもの)
→遺言書がある場合、亡くなった時点の戸籍謄本
●住民票の除票(本籍と続柄が入ったもの)
●固定資産評価証明書(当方で取得することも可能です。)
●権利証または登記識別情報の書類
相続人
●戸籍謄本
●印鑑証明書(遺言書がある場合は不要)
●住民票の写し(本籍、続柄まで記載のもの)
●免許書等の写真入りの身分証明書のコピー(本人確認資料として使用)
今から始める相続準備
「自分自身が他界した後、この家や土地・資産はどうしたらいいのだろうか?」
そんな漠然とした不安を抱えていらっしゃる方には、相続前のしっかりとした対策を生前に取っておくことをお勧めします。
相続対策のタイミングに「早過ぎ」ということはないのです。
むしろ、子どもができ、マイホームを購入した時など夫婦(もしくは親子)で相続についてよく話し合うことが、家族円満の秘訣ともいえるでしょう。
遺言書を書く
親が子どものために残しておきたい大切なことのひとつに“遺言”があります。
「まだ元気なのに遺言なんて」と思われるかも知れませんが、実はそうではないのです。
最期のときというのは、たとえどんなに元気な方でも、いつ訪れるかわかりません。もしそれが“突然の死”という形でやって来たとき、残された家族はどうなるでしょうか?
どうやって分け合ったらよいかわからない財産や資産を前に、きっと「故人の意見をもっと聞いておけばよかった」と思われるに違いありません。
そうならないために、残された家族のための“転ばぬ先の杖”として、遺言書をお作りになってはいかがでしょうか。
特に、お子さんがいらっしゃらないご夫婦、相続人以外に遺産を差し上げたい方がいる場合は、遺言によりトラブルを回避でき、さらに会社経営者や自営業の方には遺言書の作成をお勧めします。
もちろん、遺言書の書き方次第では家族間のトラブルを生むケースも少なくありません。どのような遺言を残したらよいか、誰にどのように分配したらよいかなどに関してお悩みの場合は、当事務所にお気軽にご相談ください。
遺言書は定期的にリニューアル
遺言書は、書いたら終わりというわけではありません。
生きている以上、状況も心境も少しずつお変わりになるのが自然なので、定期的なリニューアルも必要です。
毎年正月や誕生日に見直せればベストですが、たとえばオリンピックイヤーに合わせて遺言書を再チェックするなど、ご自分が覚えやすいタイミングでリニューアルされるとよいでしょう。
遺産争いをふせぐための対策
特に多額の遺産や不動産をお持ちの方の場合、被相続人がお亡くなりになると、家族だけでなく親族との争いに発展するケースもあります。
そのようなことを防ぐために、あらかじめ遺言書を作成しておくことはとても重要です。大切なご家族や親族が骨肉の争いにならないよう、厳格な形で遺言書を作成されることをお勧めします。
作成の仕方や文面、相続の内容などは、ご相談いただければよりよい方法をアドバイスさせていただきます。
相続税を考える
生前の節税対策
相続税の対象となる財産がある場合、生前に財産を贈与することで節税対策になる場合があります。
まずは相続税の対象となる財産がどのくらいあるか、実態を把握することから始めましょう。
ご自分の相続税に関してお知りになりたい方、生前対策をお考えの方は、税理士にご相談下さい。
また、当事務所においてパートナーである、信頼のおける税理士をご紹介することもできますので、お気軽にご相談ください。
納税資金の確保
節税とともにやっておきたいことのひとつが“納税資金の確保”です。
被相続人が亡くなった場合、相続人は死亡を知った日の翌月から10カ月以内に相続税の一部を納税しなければなりません。
遺産が預貯金の場合はそこから出すという方法もありますが、不動産などは一部を割って売ることもできず、相続人が払わなければなりません。
そのときのために、前もって納税資金を貯めておけば、いざというときにあわてないで済みます。
納税資金は現金だけでなく、生命保険料をあてることもできますので、必要な方は税理士にご相談下さい。
また、当事務所において、信頼のおける税理士をご紹介することもできますので、お気軽にご相談ください。
相続が起きた際、我々がお手伝いできること
ご家族が亡くなられた後、しばらくは悲しみにうちひしがれ、「相続手続きのことなどは考えられない」と思われる方も多いことでしょう。
心が落ち着き、事務的な手続きをしなければというお気持ちになられた際に、私たちでお力になれることがあれば全力でフォローいたします。
司法書士は登記手続きの代理(代行)が行えます。遺言書の作成をお手伝いするだけでなく、どんなご心配事でも、どうぞ遠慮なくおっしゃってください。
ご家族内の相続にまつわるもめごとなどにも、信頼できる弁護士をご紹介することもできます。
税務上のことは当事務所のパートナーである税理士が行いますので、安心しておまかせください。
「相続で司法書士にお願いできる仕事とは何だろう?」
そう疑問に思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実際、司法書士と弁護士の仕事の区別はとても微妙で、相続の問題などではどちらに頼んだらよいか迷われるケースも多いと思います。
当事務所の任務は、法律を順守するという枠の中で、お客様の夢の実現をお手伝いすること。
お客様のご要望を何が何でも受け入れるということはできませんが、法にのっとったやり方でできる限りお客様の利益になる方法を考え、最良の解決策を一緒に見つけていけたらと思っております。
相続のことでどうしても折り合いがつかず、民事の裁判などにもつれ込む場合は、弁護士をご紹介するという流れになります。
相続手続に必要な書類の作成から調査・相続人との話し合いの場の調整まで、当事務所におまかせいただくことが可能です。
戸籍を集めて「法定相続情報一覧図」の作成を代理します。
相続が発生した際、相続する権利のある方が誰なのかを明確にするため、亡くなられた方(被相続人)の生まれたときから亡くなるまでの戸籍と、相続する権利のある方全員分の戸籍をすべて取り寄せる必要があります。
しかし、転籍をされていたり、亡くなられた方にご兄弟やお子様が多い場合は、すべて集めるのにとても手間と時間を要します。
そこで相続に関わる戸籍収集をお客様に代わって当事務所が行います。
集まった戸籍をもとに相続人の一覧図をまとめ、法務局に申請し「法定相続情報一覧図」を作成します。
「法定相続情報一覧図」は1通で金融機関の預貯金の解約手続き等の際、戸籍の証明書原本一式の代わりに使用でき、とても便利です。
戸籍収集についてお悩みのことがあれば、何なりと当事務所にご相談ください。
不動産の名義変更手続きを代理します。
相続登記とは、亡くなられた方(被相続人)の名義になっている土地や家などの不動産を、相続人の名義に変更する手続きのことをいいます。
相続に関わる不動産の名義変更手続きを、お客様に代わって当事務所が行います(申請の代理)。
遺言がある場合は遺言に基づいて行い、遺言がない場合などは話し合い(遺産分割協議)を行って協議書を作成し、その内容に基づいて名義変更を行います。
話し合いの途中でお悩みのことがあれば、何なりと当事務所にご相談ください。
どんな小さなことでも、丁寧にアドバイスさせていただきます。
亡くなられた方が所有している状態をそのままにしておくと、代替わりなど発生する可能性もあるので、早めに手続きを行いましょう。
金融機関の預貯金の解約手続きを代理します。
亡くなられた方(被相続人)の名義になっている金融機関の預貯金口座を解約し、預貯金を相続人の代表者の指定金融機関口座に集める手続きを、お客様に代わって当事務所が行います。
解約手続きをする金融機関はご指定頂くこととなります。
金融機関の解約手続きには「遺産分割協議書」と「戸籍証明書の原本」もしくは「法定相続情報一覧図」が必要になります。
これらの書類の収集や作成も代理することができますので、預貯金の解約手続きについてお悩みのことがあれば、何なりと当事務所にご相談ください。